第43章 差し入れに行く

杉浦杏奈は自分の出番を撮り終えると、モニターの前へ行ってリプレイを確認した。

隣に立っていた鈴木真彦が、眼鏡をくいっと押し上げる。

「今の芝居、悪くない。だが少し抑えろ。相手がびびってる」

杉浦杏奈はくすっと笑った。

「監督、相手が役に入りやすいようにしてあげただけですよ?」

鈴木真彦はちらりと彼女を見たが、それ以上は何も言わなかった。

杉浦美雪が撮影現場を離れる際、杉浦杏奈のそばを通りかかって足を止めた。

「お姉ちゃん……どうして、そんなことするの?」

少し離れた場所では、彼女のアシスタントがすでにスマホを取り出し、この一瞬を撮る構えをしている。

杉浦美雪はよく分かってい...

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